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ある晴れた夏の終わり、私こと稗田阿求の家にとある妖怪が訪れました。
スキマ妖怪、八雲紫です。
彼女は自分の能力である『境界を操る程度の能力』を使い、私の書斎へ直接乗り込んで来たので、正確には訪れたと言うより侵入したと言う方が正しいのですが。
彼女は幻想郷に存在する者の中でも最高クラスの力を持つ妖怪の一人です。
境界を操る程度の能力は、その名の通り二つのものの間の境界を自由に操れるというものです。
物質や概念など、境界の対象となる物には制限などなく、場所と場所の境界をいじって瞬間移動したり、時間と時間の境界を操って時間旅行したりといったことが可能なのです。
生と死の境界をずらして相手を死の側……つまり殺すことまで容易にできるという、色々と規格外の妖怪です。
そんな妖怪が、私に一体何の用事なのでしょう?
私は尋ねました。
すると八雲紫は、
「近いうちに賢人会議というものを開くのだけれど、興味はない?」
と。
興味がない筈がありません。私は、ありますと即答しました。
八雲紫はその返答に満足したかのように微笑むと、日時と場所のみ伝えてこちらが質問する間もなくさっさと帰ってしまいました。
賢人会議とは一体何なのでしょうか?そして、何故それに私を参加させるのでしょうか?
八雲紫の思惑が理解できず、私は期待半分、不安半分といった気持ちで当日を待ちました。
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