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0時をまわっただろうか…
時計の針と窓を打つ雨の音が耳に止まる。
だけどそれは私の心臓の鼓動より弱くて、いつも気持ちを遮ることはなかった。
二つ折りの携帯を確認するけど、貴方からのメールはきてないことを確認すると、携帯と瞼を閉じる。
だけど私の心は閉じることはなかった。
一瞬でもあの人の優しい腕で閉ざされていたい。
「せめて夢の中でも良い…」
だけど押し寄せるのは、山積みになった明日という慌ただしい現実の波。そして雨漏りするくらいの不安。
いつだって私は女として強く生きてきたつもりだよ。
なのに強いはずの男である貴方の方が小さく見えてしまうの何故…?
それは私が勝手だから?
貴方が持てるものより重くのしかかるから?
だけどそれを教えてくれたのは全て貴方。
全て貴方と歩む為の私の生きる術。
そうして欲しいと願ったのは貴方なのに、貴方は飼い猫を手放すように与えるだけ与えたら私の手を離した。
「大人になったね」
なんて軽々しく言わないでほしい。
貴方の前じゃいつだって無邪気な子供みたいでいたかった…。
いくつになっても私は女で、それを人はプライドというけれど、気持ちが強ければ強いほど丸みを帯びて割れやすいこの感情の名前は何?
だけど私は貴方の前じゃ笑っていられるよ。
既に貴方の笑顔の虜になってしまってるから、こんな星一つない真っ暗な夜でも見つけられてしまうの…。
窓を打つのは雨粒は思い出の数ほどあって、そんな塩っぽい雨でももう花は咲いてしまっているの…
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