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何もない荒野が、ずっと遠くまで続いている。
オリオン座の輝く満点の星空以外は、灯りらしき物は何もなかった。
その真っ暗な闇の中に、ふっと暖かな光が浮かぶ。
それは、小さな小さな焚き火の光だった。
パチパチと木が時々弾け、花火のように美しい火の粉が地面に落ちる。
暖を取っているのは、二人の男。
その内の一人は、げっそりと顔が痩せこけ、手足は棒のように細かった。頭は白髪混じりで、汚い毛布に包まっている。
時々、苦しそうに呻くが、体が動かせないのかピクリともしない。
男は病に侵され、死を間近に迎えようとしていた。
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