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『何がそんなに可笑しいんだい?』
「可笑しいさ。人間は愚かだから、また同じ過ちを繰り返す。
より強力な武器を作り、それで残り少ない人間を殺し、物を奪う。
そして今度は、作った生物兵器のせいで、生き残った人間達も死んでいったのだから」
『君は……生き残らない方が良かったのかい?』
囁かれる優しい声に、苦しそうに眉を寄せていた病の男は、穏やかな表情になる。
「ああ。誰もいなかった。何もなかった。苦しかったよ。辛かった。……死にたかった。
孤独に耐えられず、命を絶とうとしていた時に、君に出会えた」
『出会えたね』
焚き火は穏やかな火になり、男達の顔を橙色に染める。
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