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最近はめっきりお店に人が来なくなってしまった。
ここしばらくはほとんど、開店休業状態になっている。
そもそもここは、おじいちゃんがやっていた人形屋だった。
ここの家は、おじいちゃんとその子、少年と二人でやっていた。
少年はおじいちゃんにとても可愛がられていて、よく優と呼ばれていた。
そんなおじいちゃんっ子だった優は、いつも人形を作っているおじいちゃんの背中を見て育った。
そのせいか、優も将来おじいちゃんと同じような、人形を作る人になりたいと思っていた。
そのせいか、昔からおじいちゃんに習って人形を作っては、見てもらったりしていた。
ここの家は人形屋というとても簡単な名前だが、そんな人形を扱っているのは、ここら辺ではこの優の家だけだった。
おじいちゃんの人形はとてもきれいで、とてもすごいものだった。
おじいちゃんが作った人形は、今にも歩きだして人間と同じ生活をするのではないかというぐらい、人間に似ていた。
昔、あまりにも家の周りの人たちが人間みたいだと言ったため、おじいちゃんは小さな人形を作って、抱いて買い物に行ったことがあった。
その時には、おじいちゃんに新しい孫ができたのだとみんなに勘違いされて、行く先々におめでとうと言われていた。
しかし、それが人形だとわかるとみんな驚いたように目を大きくして、そのあと大笑いした。
「弦さんが作る人形にはかなわないね!」
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