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下校時間。
美月が帰宅準備をしていると、隣の隼人の元に沢山の女子が集まって来た。
「アドレス教えて~。」と言う子もいれば、「中学ドコー?彼女居るの~?」等、終始色めき立っていた。
「俺ケータイ持ってないんだよね。ごめんね。女の子は好きなんだけど、1人だけって選べないんだよね~。」
ニコッと愛想良く笑うその顔は、先程とは違いどこか冷たさが見えた。
遠回しに断っても女子の勢いは治まらず、ヒートアップする一方であった。
『あぁ…ちょっと美月ちゃんの気持ち分かるわ…。』
げんなりしていると、真白が美月に飛びつく姿が見えた。
「み~つきちゃん!約束♪アドレス交換しよぉ~!」
自分の携帯を取り出し、美月にくっつく真白をじっと見つめ、しばしの沈黙が続いた。
隼人の耳に、クラスの女子がヒソヒソと話す声が聞こえた。中には嘲笑すら混じっていた。
『何…コイツら…。』
今まで隼人に質問攻めだった子達も、美月に視線を送っていた。
美月はその視線?話し声に気付き、真白を見た。真白は気付いていないのかニコニコしている。
「…アナタ…友達欲しいの?」
「え?うん。欲しいよぉ。だから美月ちゃんに話し掛けたんだよぉ。」
間延びした調子で真白が答えると、更に嘲笑は増す。
「ウケる。あの子外部からの子?知らないんだねー。」
「誰か教えてあげたら?」
美月ひ真白の携帯を掴むと、ポイっと床に投げた。
カシャンと渇いた音が響き、周囲は再びシーンと静まり返る。
「友達が欲しいなら私に構わない方が利口だわ。」
周りに聴こえない程のトーンで真白に呟くと、足早に美月は教室を去った。
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