第1章

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美月はこの叔母が嫌いだった。 美月が12歳の頃、両親の居ない美月を母の妹である叔母が引き取った。叔母には子供が居なかった為、最初のうちは目一杯の愛情を注いでいたが、いくら尽くしても心を開かない美月に次第に恐怖心さえ抱くようになったのだ。 『あの子の瞳が怖い…。全てを見透かされてるようで…。吸い込まれてしまいそうで…。息苦しくなる…。』 電話で誰かにそう話しているのを聞いたことがある。 中学3年になった頃、大手企業の社長を務める叔母は、一応『一緒に住む』名目で1LDKのマンションを用意した。 「美月ちゃんももう大きくなったし、私達と一緒じゃ何かと気を遣うでしょ?受験もあるし、勉強しやすい環境をと思って…。もちろん、様子は見に来るし必要な物は何でも揃えてあげるから、遠慮しないで言ってね。」と、白々しい笑顔を浮かべた。
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