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後にも先にも、叔母の好意を素直に受け取ったのはこのマンションだけであった。
確かに、美月にとって叔母一家と離れて暮らせるのは好都合だし、何より、毎日美月の顔色を窺う叔母の顔を見なくていいのは助かった。
1人暮らしをしてからは、毎月必要なお金は通帳に振り込んでくるし、建前上、時折電話をよこして様子を窺ったりしていたが、マンションを訪れることはなかった。
もちろん…卒業式にも…。
美月は分かっていた。
『きっと私が怖いのだろう…。アノ父と母の子なのだから…。』
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