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無事に式も終了し、各クラスへと全校生徒が移動を始める。
新入生は掲示板に貼られているクラス割りを見て、それぞれのクラスへと散って行く。
同じ中学からの友人と一緒になれて喜ぶ者、友人と離れて不安そうな表情を浮かべる者、初対面でも積極的に話し掛け、友人を作ろうとする者…。
あちこちでアドレス交換をしているのを、美月は冷めた視線で見つめ、自分のクラスである1年2組に入った。
黒板に書かれている座席表で自分の席を探し、新しい机にカバンを置く。窓際の席で、叔母が用意した真新しいカバンに陽の光がキラキラと降り注いだ。
椅子に腰を下ろし一息ついていると、美月の元へ小柄な生徒が走り寄って来た。
「ねぇねぇ!アナタさっき挨拶してた人でしょ?私、坂井真白って言うの!マシロって呼んでね!挨拶すごくかっこ良かったよ♪頭いーんだね!マシロなんかギリッギリセーフでココ受かったんだよぉ。頭悪いんだよねー。」
「…ありがとう…。畝 美月です。」
愛らしい笑顔を見せる真白に、表情1つ変えず美月は礼儀として自己紹介をした。
話し掛けられれば応えはする。でも、他人と深く交わるなんて煩わしいコトを美月は嫌っていた。そのせいで、友人と呼べる者は1人も居ないし、居なくても良かった。美月と一言話せば、他者とは逸脱したその雰囲気に人はすぐに離れていった。
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