花の指輪

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「言わないであげるから! だからさっさと起きなさい!」 和也は、結構だらしない。 歴代彼女達は、和也の見かけに惚れている。 一見クールそうに見えて話しやすい。 そんなギャップがいいなどと言っているが、 見かけと中身のギャップに関しては、そんなどころではない。 朝は起きれないし、忘れ物はする。 和也の親は、共働きで朝早くからいないため、 隣の家の私が、和也の両親に頼まれて 毎朝叩き起こし、忘れ物がないかのチェックをする。 同じ高校に通う同級生のはずなのに、 さながら私は、和也のお母さん役だ。 彼女達にカッコ悪いところは見せられないと、 私がお母さんのようなことをしていることは 周りに知られたくないらしい。 一度、ばらしてしまったことがあるのだが、 その当時、付き合っていた彼女にやきもちを焼かれ 私が酷い目にあったため、言いたいとは思えない。 和也のせいで、自分が痛い目を見るなんて、 まっぴらごめんだ。
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