花の指輪

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和也が起きれば、和也が朝食をとっている間に 忘れ物を確認する。 そこまでしなくてもと思うかもしれないが、 そこまでしなければ、学校で面倒なのだ。 他の友達に借りればいい物を、 わざわざ私に借りに来る。 そのたびに感じる女の子たちの視線が 耐えがたいほど熱く痛いのだ。 忘れ物のチェックが終われば、 朝食をかきこむ和也を置いて家を出る。 中学時代から続いている恒例行事であり、 慣れとは怖いもので、私の日常でしかない。 そんな日常が変化したのは、 受験を目前に控えた12月のことだった。
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