眠り王子

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数日後のあの先生の授業中、そろそろ寝た頃かと隣に目を向けるが、今日はまだ寝ていないようだ。 キーンコーンカーンコーン 終わりのチャイムを、少し残念に思いながら教科書を閉じた。 その日の授業で彼の寝顔は見れなかった。 「今日は珍しくずっと起きてたね。」 初めてかもしれない。 彼に、自分から声をかけた。 「俺だってやればできるんだ! 褒めて褒めて!!」 「褒めるようなことじゃないでしょ。 出来るならはじめからやりなさいよね。」 私は、素直じゃない。 笑顔をまっすぐ向けられて、胸の奥が熱くなる。 なんだか恥ずかしくて、可愛くないことを言ってしまうのだから。 .
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