眠り王子

9/11
前へ
/65ページ
次へ
「ハハハ、そんなこと頑張っても今更だったよな。 お前に、ずっと迷惑掛けてたんだもんな…」 悲しそうに目を伏せる彼に、戸惑ってしまう。 河合の、迷惑掛けたくない人が、私? 私は、迷惑だなんて、思ってない。 「ちょっと、待って、 わかんないんだけど、私の事、だったの?」 「…うん、そうだよ。」 そう言って、苦笑いを浮かべている。 私が、『迷惑だ』って、言ったの? そんなはずない。 私は… 「私も!河合と話せて、楽しかったよ。 迷惑だなんて思ってないし。 河合が寝なくなって、私だって…」 彼の顔が見れずに目を伏せていると、 何か温かいものに包まれた。 「なんで…泣いてんだよ…」 頭の上から聞こえる彼の声。 自分が抱きしめられているとわかった。 .
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加