第1章

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「ちょっと、て?」 「あ、何でもないの。大丈夫だから。まだ、顔赤いかな?」 「んー、」 長谷部くんが、首を傾けて私の顔を覗き込んだ。 「いや、もう赤くないよ。」 「ありがと、気にしてくれて。」 「はい、そこの2人。静かに。」 喋っていたので、小西先生に注意されてしまった。 クラスのみんなが、こっちを一斉に注目する。 加瀬くんは、じっと長谷部くんと私を見て、そのままニコリともせずに視線を前に戻してしまった。 「……あいつ今、妬いたのかな。」 「えっ、」 「はは、そんな訳ないか。」 ……そんな訳、ないんだ……。 加瀬くんと仲のいい長谷部くんに言われると、 「加瀬くんが私のこと、何とも思ってない」 てことを間接的に言われたみたいで、ヘコんでしまう。
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