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「10点」
さつきが、呆れたように私を見て言った。
「10点て、何が?」
「今の梨奈の、一連の行動が。
かろうじて挨拶はしたみたいだけど、せっかく好きな人が自分の席の近くに来てくれて、話しかけるチャンスなのに、逃げてきてどうするの?」
「うう、分かってる。分かってるんだけど、どんどんフリーズしてきて……早くしないと頷くことも出来なくなりそうだったから……」
「そのフリーズする癖、何とかしないとね。
そんなんじゃ、いくら好きな人が出来ても自分の気持ちも伝えられないし、もし付き合ったとしてもキスも出来ないよ。」
「……キ…キスって……」
朝から刺激的なさつきの発言に、動揺してしまう。
「え?だって梨奈、加瀬くんのことが好きなんでしょ。」
「さつき、声大きい。」
「ごめん。でもさ、」
さつきは、声をひそめて言った。
「好きなら、いつか付き合いたいと思わないの?」
「それは、思うけど……」
「だったら、キスすることも想定しとかないと。フリーズしたままじゃ、加瀬くんがかわいそうだよ。」
「かわいそう?」
「だって、甘いキスをしようと思ったら……」
さつきの話の途中で、ガラガラと教室の前の扉が開いて担任の小西先生が入って来て、私は慌てて自分の席に戻った。
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