3715人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
椅子に座って机の上に両手を出すと、端っこの方が温かいことに気づいた。
……ここ…さっきまで加瀬くんが手、置いてたから……。
そっとその場所に手のひらを重ねる。
トクン、と心臓が跳ねる。
あったかい。
加瀬くんと手を繋いだら、こんな風にあったかいのかな。
窓際に近い席に座る加瀬くんを、斜め後ろの方からそっと眺める。
……あ…やだ…。
さつきが変なこと言うから、
『甘いキス』とか言うから、加瀬くんを見るのがいつもより恥ずかしくなっちゃう。
私は制服のブラウスを、きゅっと握った。
……また、ドキドキしてきちゃった。
胸のトクトク、て音が手に直接響いてきて、余計にドキドキが大きく感じられる。
すると隣りの席の長谷部くんが、私の机を指先でトントンと叩いた。
「気分、悪いの?」
「え」
「顔赤いし、胸押さえてるから」
「あ、ううん。違うの、これはちょっと……」
……ちょっと、加瀬くんを見てドキドキしてました、とは言えないし……。
最初のコメントを投稿しよう!