プロローグ

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好きな携帯小説家がいる。 私の1日は、その人の小説を読むことで始まり、その人の小説を読むことで締めくくられる。 いや、正確には『その人の小説』ではなく『その人の奏でる言葉』、というべきだろう。 小説だけでなく、時折、読者に向けて発信されるコメントだったり、お知らせだったり。 とにかく、その人によって作り出される言葉たちは、いつも私に何らかの影響を与えていく。 どうしてその人の言葉は、こんなにも私の心を捉えるのだろうか? それは、たぶん……、 私が感じたことを、言葉や行動に出すことが、人一倍苦手だからかもしれない。 その人の小説に登場する人物達は、 その場で感じたことを絶妙な言葉で、 時には行動で相手に伝えることができる。 しかも、最高のタイミングで。 私は、その登場人物達が、羨ましいのだ。きっと。 その携帯小説家の名前は『恋助』(コイスケ)。 男性の携帯小説家だ。 彼の小説は、男目線と女目線の両方で書かれている。 それは、作品のシーンによって変えられるのだが、どちら目線のセリフもそれぞれ、男心、女心を理解したもので、私はいつも感心させられる。 *
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