第一項目 呪われた幻想の書物

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 夢が現実となった時に最も重要な事が、『それが現実だとすぐに気付く事』、夢のような出来事を前に『それは夢』と思いこんでしまうと取り返しのつかない事になるだろう。  何故ならそれはもう既に現実だから。  現実なのに夢と思って女性を襲えば勿論犯罪、即逮捕になるのは当たり前。  人によってはあまりにも衝撃的な出来事だったため『これは……夢だ』とかほざいて、この現実世界で現実を認めず自殺する人もいる。  そうなったらまず終わりだ、つまり夢と現実の違いにさっさと気付ける冷静さが要求される。  もしもいつも夢と思っていたような世界に行ってしまった時に生き残りたいのならば。 「とまぁ以上が夢を毎日のように見続けている僕が書いた提出用の論文なんだけど、どう?」 「レイプというワードが入っている時点で駄目だと思うが?」 「やっぱそこが駄目か」 「まぁそれ以外も駄目だけどな」 「え? 嘘、例えばどこ? 教えてよ」 「五行目に書かれてる新藤雄一ってところが特に」 「それ僕のフルネームなんだけど」  今現在、僕の目の前でイチゴ牛乳のパックを飲みながら、僕の書いた論文を片手に僕のフルネームをさらっと馬鹿にした眼鏡がチャームポイントのこの男は、僕が現在通っている高校で一年生の時に知り合い、今現在の学年である二年生に至るまで行動を共にしてきた友人、加藤(かとう)孝一(こういち)と言う。  眼鏡から想像出来る知的なイメージ通り、学年トップの成績を誇っているため、今度の授業で提出する予定の論文を学校の昼休みを利用して見てもらっていたのだ。 「その他にも、必ずしも人が夢だと気付いた瞬間、本能がままに襲うとは限らない」 「そうかなぁ? 僕は毎日のように夢を見るけど……夢って気付いたら大体女性の服を脱がしてるよ?」 「変態だな、もう一度言おう、お前は変態だ」 「それそこまで大事な事かな? 何故二回言った」  夢は自分のしたいと思った事を実現させるのにうってつけの場所だ、勿論普段から女性の服を脱がしたいと思っている訳ではないが、空を飛んだりとかの非現実を実行するには最高の環境と言えるだろう。  僕も現実世界で使ってみたくてやまない漫画とかでよく登場して暴れまくってる気、つまりオーラを夢の世界で放出しまくっていろんな物体を破壊したりしている。
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