第三項目 戦火の灯火

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「そういえばユウイチ、カトウはどこに行ったんだ?」 「ん? いや……それが昨日結局家に戻って来なかったんだよね」 「じゃあ一日中城に?」  あまり考えたくはないがそうなるのだろう。最悪、もしかしたら何かヘマをして殺されてるかも…… 「注目! これより昨日行われた適正検査の結果発表と装備品の支給を行う」  そこで会話を遮るように昨日試験官を行っていた騎士らしき人が前に出てそう告げた。近くに……孝一の姿はない。 「基本的に貴様達志願兵の階級は『従兵』として扱うが、昨日宣言していた通り、少し階級が上の今回志願してきた従兵をまとめる『従長』も貴様達の中から選ばさせてもらった」  少しでも階級が上になれば、城の中に自由に出入りするチャンスも生まれてくる……はず。 「まずは従長から発表する……志願兵九番隊、従長……ボルズ=ドール、前へ!」  九番隊って事は……既に僕達より先に試験を行った志願兵がそれだけいるという事か。呼ばれたボルズは圧倒的な威圧感を放ちながら前へと出て行く。  ありえないよね、騎士の人達は鎧を装着しているのにも関わらず、ボルズと体のがたいがあまり変わらないんだから。怖すぎ笑えない。 「貴様は九番隊の隊長となる。上手く周囲の者をまとめる様に!」 「っは!」  ボルズは胸に手を当てて敬礼をした後、支給品と階級を表す勲章を受け取り一歩下がった。 「続いて! 九番隊に所属する従兵を発表する」  その後、あの恐るべきおばさんが支配する地獄の部隊へと配属する事になる哀れな子羊達が次々に呼ばれていった。  幸い、僕は呼ばれる事なく九番隊の発表が終了する。  内心ほっとしたが、呼ばれた者達のこれからの事を考えると、表情にあらわして安堵するような不謹慎な事は出来ない。 「続いて十番隊に配属する者の発表を行う。まず十番隊をまとめる従長から発表だ……ユウイチ=シンドウ、前へ!」 「……来た!」  僕は表情にはあらわさないが、内心ではガッツポーズを取りながら騎士らしき人の前へと移動する。  これで予定通り、上手く事が進めば城に出入りするチャンスが生まれてくるかもしれない。隊をまとめる事とかの不安は今は気にしないでおこう。
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