第三項目 戦火の灯火

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「貴様は十番隊の隊長になる。しっかりやれよ?」 「っは!」  他の人の見様見真似で僕は敬礼を行い、騎士の人から支給品と勲章を受け取って一歩下がった。 「従長の発表は以上だ! 従長に選ばれた者は前日の適正検査で他の者とは郡を抜いた実力を発揮している。従兵は従長の指示を必ず聞くように!」  その後、次々に十番隊に配属する者達が選ばれ、発表は終了となった。  隊の構成は一部隊につき、十人毎に分けられている。兵に不適格と不合格にされた者もいたため、人数を合わせる事が出来たのだろう。  とりあえず従長になれたはいいが、従長になるという事は従兵より責任が重い事になる。  つまり自分の隊員である従兵達を上手くまとめないと全部僕のせいになってしまうのだが……駄目だ、全く上手く隊員達を扱える気がしない。 『これより本日の志願兵達の適正検査があるため、諸君達の訓練及び、設備案内等は正午より行う。それまでに隊員同士での顔合わせをしておけ、以上! 解散!』  と言われて、今現在街の噴水広場でその隊員達と顔合わせしているのだが……なんていうかその、ほぼ全員僕を舐めきっている感が半端ない。  僕がベンチの前に立ち、隊員達がその前をずらずらと並びながら立ち尽くしている謎の状態。  多分僕を尊敬の眼差しで見てるのは、今僕の目の前で太陽並みの笑顔でニコニコと僕を見てくる隊員NO一番のルーネと、僕と模擬戦闘を行ったプロレスラーみたいな男だけだろう。  それ以外は、なんか視線が明後日の方向に向いてたり、僕にやたらとガンを飛ばしてきたり、見るからに『何でこんなひょろそうなのが隊長何だ?』と訴えている。 「とりあえず自己紹介から始めたらどうですか? ね? たーいちょう?」  ルーネがそう上目遣いで提案してくる。多分半分面白がっているのだろう。  ルーネが僕の部隊に配属となったのは本当助かった、多分ルーネがいないと会話すら始まらなかったと思う。  ちなみにボルズの隊は、皆ボルズが恐ろしいからか、綺麗に隊列を作ってボルズに一人ずつ挨拶をしている。さすがというか、気の毒というか。
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