第三項目 戦火の灯火

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「そうでしたか! 折角カトウ殿に近い学力お持ちなのでしたら学者として迎え入れましたのに、しかし……どうして兵に?」  いや、最初あなた方も孝一を馬鹿扱いしてたのに、孝一より学力の劣る僕が学者になろうなんてする訳ないでしょ。  というより今からでも遅くないので学者に……とか言ったら孝一に怒られそうだったので辞める。  それに、学者では調べられない場所を兵だと調べられる可能性だってある。  無駄に二人共学者にならなくてもいいだろう。危険度は僕の方が圧倒的に上だけど。 「僕は考えるより、戦う力の方が強いので、この国で役立とうと思ったら兵として活躍した方がいいと考えました」 「なるほど……しかし従長になってる所を見るとその強さも偽りではないようですな、凄いお二人がこの国に来てくれたものだ」  おだててますけど、僕より凄くてとんでもないおばさんがいますからね。 「所で……さっき聞いたんですが、志願兵は基本的に城内に立ち入り禁止と聞いたのですが、こいつをなんとか城内に出入りさせる事は出来ないですか?」  そこで孝一がそう提案する。さすが孝一抜け目がない、確かにそれが出来れば僕は結構色々な場所を探索する事が出来る。 「むう……難しいですな、いくらカトウ殿のお連れでも志願兵となったならば規則は規則です。今はカトウ殿の客人として来てるからいいもの……ああ」  話している途中で、目の前の学者のおじさんは懐から何かプレートのような札を取り出した。 「ここにカトウ殿のサインを書いてください」  言われるままに孝一は出されたプレートのサインをするらしき部分にサインをする。  もしこれがとんでもない借金を背負わされることになる小切手だったら……なんて考えてみたり。 「ではこれをあなたに、それはカトウ殿の客人という証明です」  学者の人はそう言って僕にプレートを渡す。なんか孝一の使いの者って感じがして若干不快な気分になるが、今は我慢しよう。 「それがあればどこにでもという訳には行きませんが、従長としての権力と合わせれば城内に出入りするくらいは出来るでしょう」  これは思ってもいない収穫だ、これで本格的に僕達は前へと進み始めた事になる。これで城内にいる怪しげな人を探索して……っていうかどちらかというと怪しげなのは僕になっちゃうか、向こうからしたら。  だったらまず最初に接触するべき人物は……
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