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「現状ってのは……もしかして、この国に他国の人が攻め入ってくるかもしれないって事について?」
「違います、人と……魔族の関係についてです」
「ああ……確かに凄い状況だよね、今回起こるかもって言われてる戦争だって、他国から攻めてくるとかは嘘で魔族との戦争の準備だもんね」
僕がそう言うと、金髪の少女は目を見開いて驚いた表情を見せた。
「そこまでお気付きになっていらっしゃるんですね」
しまった……子供だからと言って口がつい滑って、というよりそこまでお気付きにって……あれ? この子やっぱり今回の戦争の原因について何か知ってるんじゃ……
「……まあだって無理あるでしょ、他国から攻めてくるなら魔族と人で協力しないといけないのにそんな気配もないし」
「あなたは……これからこの国がどうなって行くと考えておられますか?」
どうしてそんな事を僕に? でもこの子、何か黒幕について知ってるのかもしれないし……情報を引き出すためにはこちらから何か気になる事を言った方がいいのかも。
……そうだ、僕はこの先この国がどうなるかを知っている。もしこの子が黒幕の関係者なら、これから起きる事を言えば計画がばれる事になるため、何か焦った素振りを見せるに違いない。
もしこの子が黒幕の関係者で焦った素振りを見せればこちらから聞き出せばいい。
相手は子供だ、真相を知ろうとした人間を殺そうと僕に襲い掛かって来ても、この子だけなら僕をどうこうする事は出来ないはずだ。
「人と魔族でまず間違いなく戦争が起こる」
「やはり……そうですか、そうですよね」
僕がそういうと、金髪の少女は溜息をついて落胆した。
「どうにか……止める事は出来ないのでしょうか?」
……止める? そんな事言うって事はやっぱり黒幕の関係者じゃないのか? いや……でもまだわからない。
「止められないだろうね、一応皇女様が必死で止めようとするみたいだけど。『誰かの意図通りに』騎士やこの国の大臣や民達が止まらず暴走する」
あえて意図通りと発言する事で、相手の動揺を誘ってみる。これで動揺すればこの子は黒だ。
「やはり……そうなりますか」
だが少女に動じる様子はない。
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