第四項目 戦火

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「今……あなたは意図通りと言いましたが、それは一体誰の意図通りなのです?」 「さあ……僕もそれはわからない、わかるのは戦争が始まってから人と魔族の英雄が協力して戦争の原因となった事の発端を探り始めるって事かな」 「何故……そんな事がわかるのですか?」 「そして事の発端巻き起こした首謀者が皇女様。目的は国の統一、争いの後に別の人物を黒幕に仕立て、戦争を終結した後一気に友好的な状況へと運ぼうと企てる」 「そんな事……絶対にありえません!」  金髪の少女は少し興奮した感じでベンチから立ち上がり、僕を睨み付ける。 「何故そんな事がわかるのですか? 皇女が国の統一を図るために民を犠牲にする等……ありえぬ事です!」 「激怒した二人の英雄は皇女の企てを民へと公表し、皇女二人を処刑する」 「二人の英雄……ハロルドが……?」 「それを境に人と魔族は友好的な関係となり、見事皇女の企て通り統一されたエルトニアを、二人の英雄が皇女に変わり治める」 「……あなたは先程から、一体何をおっしゃって……」 「以後、二人の皇女達は悪の化身とされ、歴史に名を残す事になる」  金髪の少女の表情はいつの間にか、真実を知ってショックを受けたような焦ったものに変わっていた。  この子の言動、さっきから皇女様を庇っているように聞こえる。 「教えてください……それはあなたの予測なのですか? それとも……確定された未来なのですか?」 「これからどうなるかなんて、それは君が良く知っている事なんじゃないかな?」 「何の事ですか……! 私にはわからないのです。どうしてこうなってしまったのか……そしてこれからどうなるかなんて」  この子……やっぱり何も知らないのだろうか、動揺はしているが、隠し事がばれて動揺している様子ではなさそうだ。 「あなたは一体……何者なのですか? この国の人間ではないでしょう?」 「どうしてわかるの?」 「私を知らないという事は、つまりそういう事に繋がります」  え? この子って一体なんなの? この子を知らないという事が国民ではない事に繋がるなら、この国の人間なら全員知ってる存在に。
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