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「どうしてこの国の者でないあなたが、これからこの国で起こるかもしれない事を知ってるのですか!?」
「えっと……」
や……やばい、問い詰めるつもりが逆に問い詰められてる。こういう時はなんて答えれば……!?
「ぼ……僕は未来から来た」
苦しすぎる! 一体誰がそんな二十一世紀のロボットよろしくの台詞を信じるんだ? 馬鹿か僕は。
「未来から……来た? ……そうですか」
金髪の少女は僕のその言葉を聞いた途端、ベンチに座り込んでしまった。
あれ? 意外と信じてくれてる? さすが子供、騙しやすい。というかどんだけ純粋なのこの子、良い子すぎる。
「では先程あなたが述べたのは……この国の歴史、結末なのですね」
「……!? ま、まあそんな所……なのかな?」
「あなたが未来から来たかどうかは知りませんが、あなたが纏っているその不思議な力が一体何なのか……わかった気がします」
この子……さっき言ってた不思議な力って、冗談で言ってた訳じゃないのか。
だとしたら僕の周囲に本当に見えてる何かがあるのか? 夢世封書の力か何か……なのかな?
「どういった経緯でそうなるかはご存知ではないのですか?」
「いや、そこまでは知らないな……さっき言った通りに記されてあっただけだから」
「記されてあった……ですか」
しまった……! 聞きだすつもりが逆に聞き出されてる。何なのこの子怖い。
でもこの子、国民全員が知っていて、皇女を庇うような言い方して、純粋で優しそうで民の事を考えてるあたり……あれ、皇女様?
「姫!」
目の前にいる金髪の少女への対応に困っていると、突然ベンチ後ろの背後から、やたらとイケメンボイスの男の渋い声が辺りに響いた。
「って姫?」
という事はやっぱり皇女様? 『私を知らないという事はそういう事に繋がります』ってのはつまり、皇女様知らない国民なんていないって事? ワロタ。
怪しいとか疑ってかかった少女がまさかの皇女様とか、どっからどー見ても一番怪しいのは僕でした、本当にありがとうございます。
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