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「姫……ここにおられましたか! あなた様はこの国の皇女……万が一の事が起きぬよう外出は控えていただかないと」
皇女様確定。あれ? じゃあ僕って皇女様を相手に最終的に皇女様が裏切り者になって死ぬというお話をしてしまった訳? 馬鹿ですか? 孝一がこの事を知ったら発狂して僕の首を絞めるなこれは。
「特に今はとても危険な状態にあると何度もお話……何だ貴様? 見ない顔だな、何者だ!」
普通の騎士とは違う、綺麗でデザイン性のある鎧を纏った金髪オールバックの男が、喋ってる途中で突然態度を変えて近付いてきた。
ですよね、他の人からしたら凄く怪しい不審人物ですよね僕。
だって皇女様と一緒に何故かいる、騎士でも学者でも王宮兵士でもない只の志願兵だからね。しかも新入り。
「ここで何をしていた……答えろ!」
金髪のオールバックはそう叫ぶと、腰に差してあった剣を抜き、僕に向けてきた。
どうしよう、一応僕もまだ鎧を着用してるから腰に剣があるけど、剣を扱った事なんてほぼないし、何よりここで騒ぎを起こしたらゲームオーバーな気がする。
「剣を収めなさいハロルド」
脳内で一人葛藤していると、皇女様がそう僕にとって好都合な台詞を金髪のオールバックに向けて放った。
「……姫、この者は一体?」
「本日から志願兵としてこの国のために戦う事になった方です。今日から配属なのに従長の勲章を所持してる事から実力のある者と見込み、本日の任期を終えて帰ろうとした所でお願いして護衛していただきました」
「……そうでしたか、無礼をお許しください」
「構いません」
なんだかよくわからないが、皇女様のナイスフォローでなんとか斬られずに済んだようだ。
でもどうして皇女様は僕を庇って……? もしかして僕の話を本気で信じたのだろうか?
「……君もご苦労だったな。城内の出入りを禁止されているとはいえ皇女様の命令は絶対……それに今日配属されたばかりだ、皇女様が外出禁止なのも知らなかったのだろう」
そう言いながら金髪オールバックの……ハロルド? という名前の人は剣を鞘に納めた。
「今回は不問とする、下がっていいぞ。後は私が皇女様を部屋までお連れする」
「あ……はい、よろしくお願いします」
ここはおとなしく下がったほうがいいだろう、折角皇女様が僕にわざわざ助け船を出してくれたのだ、無駄には出来ない。
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