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「……!? 危ないケイト!」
ケイトの背後から魔族の一人が忍び近寄る。背を向けていたマスターとケイトは気付く事が出来ず、正面に立っていた僕だけが気付く事が出来た。
「背後から……しかも女の子を殴るなんて、この卑怯者!」
そう叫びながら僕はケイトを横に突き飛ばし、背後に近寄っていた魔族の顎に掌打を打ち込んだ。
「ぐぉ……!」
「僕の世界だったら豚箱行きだぞ!」
続いて掌打で怯んだ相手に向かって、鞘に収めたままの剣を顔面に思いっきりぶつけ、お腹を蹴って後ろへと飛ばした。
「ほぉ、やるじゃねえか」
「そんな余裕ぶっこいてる場合じゃないですよ」
マスターはケイトを助けたのを見て、口笛をぴゅうっと鳴らして僕を褒めた。
「大丈夫ケイト? 突き飛ばしちゃったけど怪我してない?」
「いてて……はい、大丈夫です」
剣を腰に戻した後、僕はすぐさま突き飛ばしたケイトに手を差し出して起き上がらせる。
「危ない所でした……ありがとうございますユウイチ君」
「ここもそろそろ危ねえな、ケイト……お前は先に避難場所に行ってろ」
「え……でも」
「馬鹿野郎、足手まといなんだよ、俺もユウイチもお前を守りながらはきついかもしれないからな」
マスターがそう言うと、ケイトは少し唇を噛み締めてから黙って頷き、そのまま避難場所へと走って行った。
「さて、ケイトは行ったようだな……それじゃあ頑張れよユウイチ」
「あれ? マスターも一緒に戦ってくれるんじゃ……」
なんかそんな口ぶりだった気がするんだけど、僕の気のせいですか?
「いや、俺はここで危ないけど危なすぎでもない場所で協力しとくからよ、お前は本職だろ? ほら……敵陣に突っ込んで来い!」
マスターはそう言って、今現在英雄ハロルドが戦っている魔族連中が固まってる場所へと背中を押した。
やめて、マジやめて。鬼畜、マジ鬼畜だよマスター。いやボブ。ファッキンボブ。
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