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そして……守護龍の死体が机の上に転がる居ずらい空間で、重たい空気を漂わせながら時間だけが経過していった。黒幕は……まだ登場しない。
このままでは、地上で戦っている者や民の命が無駄に散っていくだけじゃないのか?
そう考えた時だった。
「……さあ、こちらです」
僕達が待機するこの部屋の外、重い金属で出来た扉の向こう側から何者かの声が聞こえたのだ。
その声に、その場にいた全員が反応し……座らせていた腰を起き上がらせて武器を構える。
そして次の瞬間……金属で出来た扉は重々しくもゆっくりと開きだす。
「……な、何者だ!?」
扉を開けて入ってきた連中は、魔族の大臣や人の大臣、それぞれの種族の重要人物達だった。
「は……ハロルド!? それに……グラウスまで!?」
「な……何故ここが!? 誰かが情報を漏らしたのか!?」
そして大きな声を出して焦りだす大臣達。いや……その大臣達以上に僕達は焦っていた、その場にいた全員が焦っていたと思う。
「……姫」
英雄ハロルドは目の前に存在する……皇女様に対して小さく、弱々しくそう呟いた。
そう、二人の皇女様はその場にいたのだ。……夢世封書通りに。
「お……お逃げください皇女様! もう駄目です! 我々の計画は失敗です!」
…………今の大臣達の台詞、やはり皇女様が……皇女様が本当の……黒幕なのか?
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