第五項目 僕がそんなの認めない

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「何故……あなたがそこに居られるのです。……姫!」  英雄ハロルドは動揺を隠し切れない焦った表情で、この国の人の皇女であるエミリス=ブロウネットにそう問いかける。 「それはこちらの台詞です。いえ……そんな事よりも」  そう人の皇女様は言うと、何故か、皇女様二人も焦り驚いた表情でこの部屋の中央に存在する物体を指差した。 「どうして……どうして? この国の守護龍がそんな姿になってここに横たわっているのです?」  ……? どういう事だ。 「ふざけるな! あなた方が守護龍を殺し、この場に隠したのではないのか!? いや……そもそもどうして皇女様は守護龍を殺されたのだ!?」 「何を言って……? 私達は守護龍を殺したり等してはいません!」  英雄ハロルドの怒りがこもった言葉に臆する事無く、魔族の皇女様は反論した。  皇女様は守護龍を殺していない? どういう事だ? じゃあ一体誰が守護龍を殺したんだ? 「申し訳ございません皇女様方、我々が守護龍を始末させていただきました」  誰が守護龍を殺したのかに迷っていると、皇女様二人の後ろに控えている大臣達の一人がそう言った。 「あなた方が!? 一体どうして!」 「申し訳ありません。この国の真なる統一を図るために戦争を起こし、多くの命が流れようとも民の心を一つにする今回の作戦にはどうしても守護龍が邪魔だったのです」 「一体どういう……」 「今回の騒動の主謀者である皇女様方は最早、心美しき、優しき方達ではなくなる。そうなった時……守護龍はこの国を守るために敵となるでしょう。故に先に始末していたのです」 「私達が主謀者!? ふざけないでください! あなた方は私を避難させるためにここへ連れてきただけでしょう!」  ……? どうなってるんだ? 大臣達は皇女様達を主謀者だと主張しているが、皇女様達は違うと主張している。 「ハロルド……! 私を信じてください! 私は何もしていない!」 「姫……」  英雄ハロルドは皇女エミリスの必死に訴えかける姿を見て、困惑した表情を見せた。 「皇女様方! まさかここまで来て我々をお見捨てになるのですか!?」 「ふざけないでください! 私は何もしていない!」 「皇女様! そんな! あなたの指示通り全て行ってきたというのに!」  そんな皇女様と大臣達の言い争いを見て、英雄ハロルドは重たい口を開いた。
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