第五項目 僕がそんなの認めない

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 言われた箇所を見てみると、何故かわさびの背中にドラゴンらしき翼が生えていた。よく見ると翼までもふもふの毛に覆われている。 「わさびに翼が生えてる……何で?」 「これは成長です、守護龍が少しだけ大人になった証……私も聞いた事しかありませんでしたが、守護龍の成長は急激な進化で遂げられるようですね」 「成長……って事は治癒能力も上がってるんじゃ!」  それに気付いて孝一の様子を再確認するが、孝一は相変わらず苦しそうに呼吸を荒げて緑色の光に包まれている。  緑色の光に包まれている時点でわさびの治癒は行われているはずだ、という事は……わさびの治癒の能力は上がっていない? 「わさび! 全力で孝一を治してくれてるの!?」 「キュイ」 「どうやら……翼が生えて空を飛べるようになっただけのようですね」  皇女エミリスは悲しげにそう呟き、わさびは皇女エミリスの隣で生えたばかりの翼でぱたぱたと飛んでいる。  え? 何でこのタイミングで進化したの? 期待させるだけさせて空を飛べるようになっただけって……それはギャグでやっているのか? 今はそんな冗談に付き合ってる場合じゃないんだぞ? 「とにかく動かすのは危険だ、俺が今から街に行って医者を呼んでくる」 「まちなボブ、まだ街の方では人と魔族が争ってる。変につけられてここに来られたらそれこそ終わりだ」 「じゃあどうすんだよ! こいつらの役目はようやく終わったんだ。なのに死んで終わりなんて報われねえだろ!」  そうだ、マスターの言う通り僕達の役目は終わったはずだ。なのに……僕達は元の世界に戻れていない。孝一が瀕死状態だからか?  そもそも……どうすればこの世界から元の世界に帰れるんだ? 帰りたい……僕たちがここまで頑張ってきたのは、元の世界に帰りたかったからだ。  なのに……死んでこの世界に骨を埋めるなんて、そんなの哀れすぎる。  そう考えた時だった、 「つぁ……!? な……なんだ!?」  僕の目の前で、突然目を開けてられない程の白く眩い光が辺りを包んだ。 「何なんだ今度は!? この光は何だ!?」  またわさびが進化するのだろうか? もしそうなら今度こそ治癒能力が上がって孝一を……いやでも、この光は白い。  さっきわさびが進化した時に発生した光は緑色で孝一が包まれている光と同色だった。
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