第六項目 呪い

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「新藤」 「何でしょうか?」 「俺確か死に掛けてたよな? 英雄に殺されかけて」 「死にかけてたねぇ」 「何で怪我治ってんの? そしてなんでいつの間に元の世界に戻ってんの?」 「知らん」  そんな会話をした後、お互い五分程屋上から見える空を黙って見つめ呆けた。  僕達は帰ってこれた。きっと孝一の予想通り、真の黒幕を見つけてなんとかする事が出来たからだろう。  いくらなんでも突然すぎる……お別れの挨拶もしたかったし。  でも今回に限っては孝一が死にそうだったため、これで良かったのかもしれない。あちらの世界で受けた傷が全部治っているからだ。よく見れば服も元通り学生服に戻っている。  あちらの世界で受けた変化はどうやら全部元に戻されたようだ。 「帰って来れたんだな……俺達は」 「そうみたいだね……」 「まるで夢のような出来事だったな」 「何? 孝一寂しいの?」 「馬鹿言え、死に掛けたんだ……もう二度とあんな経験したくない」  でもこれでもうルーネ達に会う事が出来ないと考えると、少し寂しかったりもする。 「そうだ新藤! 夢世封書はどこに!?」 「あ、そうか!」  僕達がエルトニアの世界に行くきっかけになったのは屋上で夢世封書を読んだからだ。という事はその夢世封書が屋上にあってもおかしい事じゃない。 「あった! あったよ孝一!」 「中はどうなっている!? 『龍の守り』の部分は何か変化しているか!?」  予想通り屋上のフェンス近くに落ちてあった夢世封書を拾い上げ、孝一の指示通りに『龍の守り』の話が書いてあるページを開いた。
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