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「しかしそんな頻繁に夢を見るんだな、一年間一緒にいて今日初めて聞いたぞ」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってない、まぁ俺も夢を見るには見るけどな……毎日じゃないが」
「そういや夢を見ないって言う人もいるね、まぁ実際夢を見てない人なんていないんだけどね」
「記憶にないだけだな、夢をどれだけ覚えているかは個人差があるらしい。まあ……俺は大体いつも覚えていないが、覚えている時も勿論あるけどな」
そう言いながら、孝一は僕の論文を教室内の机の上に投げるように置いた。
「ちなみに僕は夢を毎日覚えているけどね」
「つまり毎日夢で女性を襲っている訳か」
「その通り」
「雄一……お前は変態じゃなかった、ド変態だった」
酷い言われようだ、別に現実世界でそんな事をしたいと言っている訳でもした訳でもないのに。
「ちなみに孝一は、自分が見ているのが夢だと気付いたらどういう行動を取るの?」
「女性を襲う」
「クズが……」
孝一はとっても気さくな奴だ、あえてシャーペンを使わずに鉛筆を使い、その鉛筆の芯を綺麗に尖るよう削る事に情熱を燃やすほど気さくな奴だ。
しかも学年で一番良い頭脳を持っているというのだから、気さくで勉強も出来るパーフェクトな高校生と考えても良いのかも知れない。
もし唯一欠点があるとすればドが付く程の変態という点だけだろう。かなり大きな欠点な気もするが僕は気にしない。
でも孝一が本当は気さくでド変態な奴と知っているのは僕くらいで、他の人は成績優秀で将来安定の優等生としか見ておらず、他の連中からは一歩距離を置かれている。故に孝一は友達が少ない。
その理由も、孝一が喋るにしても行動するにしても、全く表情に変化がないのが原因である。つまり常に無表情。
その無表情な顔に輪郭のはっきりしている整った顔立ち、ガリ勉を連想させる黒ぶち眼鏡、清潔感溢れるある程度短い黒髪の髪形をしているのだから余計に優等生感を醸しださせ、近付き難いオーラを放っている。
一度親しげに話せば孝一の良さを皆理解すると思うんだけど、皆話しの間が続かないからって会話をしようとはしない。
まぁ僕も最初は近付き難い奴と思っていたので仕方がないといえば仕方がない事なのだが。
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