第一項目 呪われた幻想の書物

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 そんな会話をしている最中、人のどよめきの声で廊下の方が突然騒がしくなり、そしてそのどよめきの原因となっているだろう存在の影が、僕達が今いる教室のドアの前で止まる。 「雄一ぃぃぃぃいいいい!」  次の瞬間ドアが勢いよく開かれ、黒髪ロングでこの学校の女子制服を着用した女子を筆頭に、その女子の後に続いて他のクラスの女子達複数人が、明らかに怒りを表すかのような表情を見せながら、どかどかと教室内へと入って来た。 「よし、逃げよう孝一」  そう言って立ち上がるが、既に女子達に囲まれてしまって逃げ道がない。  しかもご丁寧に、丁度教室内に居合わせた僕のクラスメイト達が机と椅子を教室内の端に寄せて、どうぞ暴れてくださいと言わんばかりの空間を作り出す。  酷すぎる、まだ僕達が何かやったかどうかもわかってないくせに、もう僕達が悪いのだろうと決めつけてこんな空間を作るなんて。  おかげ様で囲まれてもう逃げられなくなってしまったじゃないか……というより孝一、そろそろそのサンドイッチを一度机に置いてこの女子達に向き合ったらどうだろうか?  何自分は関係ないみたいな表情でイチゴ牛乳飲んでんの? 「あんた……覚悟しなさいよ」 「ちょっと待ってよ、僕達が一体何をしたって言うんだ!」 「僕達じゃなくて雄一……あんただけに言ってんのよ!」 「なん……だと?」  馬鹿な……孝一は優等生だから疑う余地がないとでも言いたいのか? 孝一は僕以上の変態だというのに。 「あんたしかいないのよこんな事する大それた変態は!」  そう言いながら、目の前にいる黒髪ロングの女子は僕の目の前に三枚の写真を見せつけてきた。  その写真はそれぞれ目の前にいる黒髪ロングの女子を含む、他のクラスの女子のスクール水着写真だとかパンチラ写真だとか、とりあえず際どい写真ばかりだった。くれ。 「……これがどうかしたの?」 「あんたが撮ったんでしょ」 「と……撮ってないよ! 濡れ衣だよ! そもそもその写真はどこから持ち出して来たの?」 「さっき廊下に落ちてたのよ、皆と相談した結果、雄一が犯人という事で決定したわ」 「何故!?」 「前例がありまくりだからよ! こんな盗撮まがいな事をする変態といえばあんたぐらいしかいないじゃない!」  僕と同席してイチゴ牛乳を飲んでる奴も相当な変態ですけどね。
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