第二項目 呪われた幻想世界

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 さすがに自分から噛むのを止めておいて再びまた噛んで来たりはしないはずだ、こちらから何か攻撃的な事をしなければ多分大丈夫。 「……あれ? お前怪我してるじゃん」  ウサギっぽい生物を良く見ると、前の右足から出血しているのがわかった。  怪我しているにも関わらずあの瞬発力で僕に噛みついてくるとは……一体どこの戦闘狂だこいつ。 「ちょっと待ってろよ……確か」  今更ながら自分の服装が学生服のままという事に気付き、右ポケットにハンカチを入れていた事を思い出す。  とっても紳士な僕はポケットにハンカチを入れる事を忘れないのだ。揺るぎないね。 「キュキュウ!」 「おいおい、暴れないでくれよ、僕は手当てをしたいだけなんだ」  ハンカチをウサギっぽい生物の右前足に当てると急に暴れ出したが、ハンカチを取り出した時に一緒に出てきた、いつもらったかわからない袋に入った謎の飴玉を与えると大人しくなり、その間に怪我をしている部分にハンカチを巻いて軽めに結んだ。  ちなみにこの後この生物がお腹を壊しても僕は知らない。 「これで……良しと」 「キュイ」  ハンカチを足に結んだ後、ウサギっぽい生物の頭に手を置いて優しく撫でる、すると今度は暴れる事無く大人しく触らせてくれた。  どうやらこの生物はそこそこに知性があるようだ、自分が助けてもらったという事をちゃんと認知している。 「さて……そろそろ行かないと」  いつまでもこのかわいらしい生物と戯れていたいがそうもいかない、現状がどうなってるのかが全くわからないため、早急に事の事態を把握する必要がある。そのためには進むしかない。 「えっと……またね!」 「キュウ」  偶然出会った謎の生物に別れを告げ、僕は再び爆発音が鳴った方角を頼りに足を進め始めた。 「これは……どういう事なの?」  爆発音が鳴った方角を頼りに歩く事約五分、薄暗く狭い洞窟内の通路を抜け、外からの光が中央に集中している謎の広い空間へと出た。
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