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女? 手を繋いでいたって……。
私は、ベッドの横で
ただ呆然としていた。
『たかしさんのご遺族の方。
あっ、お母さんですね?そちらは…
ご兄妹の方でしょうか…』
たかしのお母さんを見て、
それから私を見る。
何いってんのよ…私はたかしの…
恋人、なんて言えない。
手を繋いでいるその女の人は、
周りから見れば彼女だから。
『いえ、たかしの『はい、妹です』
お母さんの言葉を遮り、言った。
『あ、ですよね。たかしさんの
恋人の……近藤香奈さんですが。
遺品を、お母さまと妹さんに
渡しておきますね。』
渡された、免許証と財布。
『遺品は、これだけでした。』
医者はそう言って、
病室から出て行った。
ナースはたかしの身体を拭いている。
『小池ちゃん……』
お母さんは、私を
心配そうに見る。
『私は大丈夫ですよ。
浮気は…男ならあるでしょうし』
ははっ、と軽く笑った。
無理矢理に作った顔に、
お母さんは悲しそうに言う。
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