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omake
「ふう。この景色も久しいわね。」
私は宙に浮かぶ巨大歯車の入り口で立ち、ぼんやりと虚空に視線を投げかけた。
あれから数十年もの時が流れ――今度こそ私は本当に輪廻の輪に乗った。
天寿を全うしたのだ。
――最初から最後まで流されっぱなしの私の人生……
波乱万丈…
誰にも真似できない、ってか真似したくねーよみたいな散々な人生だった…かもしれない。
でもこれだけは言っておこう。
私は奇異な生を送ったけど、最後まで後悔はしなかった。
幸せだった。
私は私として、精いっぱい生きたのだ。
「…じゃ、行こうか。ニーア。」
「分かってるって。ていうかアディル、本当に転生して人間になるつもりなの?」
「当たり前だろ?お前を一人にするわけないじゃないか。来世でも絶対、一緒だ。」
「……はいはい。」
――彼の隣でずっと、ね。
END
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