『むかつくアイツ』

11/12
前へ
/23ページ
次へ
「こんな奴関係ないから行こうよ!」 そう言い足を進めようとするが、強引に体の向きを変えさせられる。 私は安藤の腕の中にすっぽり入ってしまう。 「行くなよ……。忘れてるみたいだから言うけど、今日お前の誕生日」 た、ん、じょうび? あ…………今日は2月8日。 「これ、渡そうと思ってたんだ」 ズボンのポケットから、小さい箱を取り出す。そして、目の前で蓋を開ける。 「みぃ……。どんな事があっても、お前と一緒に居たい。俺と結婚して下さい」 涙が出た。 わがままで、子供で、どうしようもない私と一緒に居たいと言ってくれる。 好きで、好きすぎて。困らせたくないのに、困らせてしまう。 構って欲しくて喧嘩してしまう。 そんな天の邪鬼な私の愛情を、彼はちゃんと分かってくれていたのだ。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加