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毎日、壁際に寄せられた机に座り、誰の目にも触れないよう小さく小さくなっているのだ。
会社から邪魔物扱いをされ、給料はどんどん下がっていく。
そんな彼に、家での居場所もなかった。
疲れて帰っても、薄暗い部屋の机の上に、ラップの掛かった冷たい夕食が置いてあるだけだった。
「おかえり」と言う労りの言葉も、優しい笑顔も何一つない。
妻には話掛けても無視をされ、子供は汚いものを見るかのように、冷たい視線を送るのだ。
「私は、居ない人間なんだ」
嗚咽が漏れそうになり、拳を握り口元に寄せる。
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