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連行されること30分。康也を乗せた車は停車した。
康也は隣の男に尋ねた。
「あの....どこへ着いたんですか?」
男は康也を一瞥したあと、こう答えた。
「黙ってろ、死に損ないが……」
男の冷酷な声に康也は背筋が凍る。
「いいから降りろ」
男は鼻を鳴らし、康也に指示した。
康也は素直に降りる。
そこには、何十階建てかわからないほどの高層ビル。
『RAOS』とかかれた看板が目につく。
「ついてこい」
康也は男に連られ、高層ビルに入っていった。
連れられた先は、何かの倉庫かと思わせるほど広い部屋だった。そこには、何十人前後の人が隊列をつくっていた。
「ここに並べ」
指示され、最後列に並ぶ。
「3班、全員集合しました」
「お疲れ様です」
男の言葉に女の声が返す。
「皆さん、ご機嫌はどうですか?」
女の問いかけに集団は答えない。
「おっと、言葉が悪かったですね。
皆さん、死にきれなかった気持ちはどうですか?」
「なんだと!?もう一度言ってみろ!」
最前列の誰かがわめいている。
「あら、聞こえませんでしたか?なら何度でも言いましょう。
皆さん、死にきれなかった気持ちは………」
「うるせええぇ!!!」
女が言い切る前に誰かが襲いかかった…ようだ。
その時、
『バァン!!』
激しい音とともに火薬の臭いが漂う。
撃った...女が拳銃を撃ったのだ。
男は頭を撃たれ、息絶えていた。
「あなたたちは本当は死ぬ運命だったことをお忘れなく。
もし死にたい方がいらしたら名乗り出てください。私が殺してあげましょう」
女はそう吐き捨てた。
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