カメラ

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  頭の中で靄がずーっと漂う中、ラバーマスクの女が私の横にズルズルと這って来た。 どうしたのかしら・・・ 「あなた、話せるの?」 首を横に振る。 地面に手で何かを書こうとしている。 自分の手に付いている血で・・・。 ご め ん な さ い そう書いた。 何で謝るのだろう・・・。 私は訳も分からず彼女の書いていく血文字に凝視した。 こ ろ さ な い 殺さない? い た ぶ ら れ る だ け え?いたぶられる? パニックになるような残酷な想像が勝手に頭をフル回転させていく。 彼女の姿はどう見ても奇怪で見る者を恐怖に陥れていく。 薄暗い部屋の中にもかなり目が慣れた。 彼女の腰が異様に細い事に私は気付いたが、黒いボンテージに包まれ、よく見えなかったがどうやら彼女のウエスト部分は抉られた様な・・・。 あ! 彼女のウエスト部分は完全に肉がこそげ落ち、シェイプされていた。 『どうしたの?腰・・・』 イ ヌ え?犬に咬まれた? 『咬まれたの?』 ソ ウ 何かが重く私の身体を縛っていく感覚に陥り、息苦しさと過呼吸に似た恍惚感が私を襲った。 『ジジジ・・・・ィ』 何の音だろう? 私は音のほうを見た。 背中側で聞こえたので寝そべりながら返り身をすると・・・。 ビデオカメラが設置されていた。 そして私の目線に気付いた男が 『カメラが回っているんだよ、何故だかわかるか?お前たちは食事は与えられない・・・。』 ドキッとした・・・。 一瞬で安易な発想をしてしまったからだ。
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