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この公園で今みたいに君と駄弁っていた
猫が逃げて君が追いかけた
すると君はトラックにひかれて死んでいった
もう思い出したくもない夢だったなぁ
僕はその夢が本当に起こる事なら嫌だった
だからそれを遠ざけようとして
僕はちょっと困った顔で言った
「今日はもう帰ろうか」
そう言うと君はニコッと笑い「うん」と言って僕は安心した
そして道を抜けた時周りの人は皆口を開けて上を向いていた
僕も皆と同じように口を開けて上を向いていた
なぜならそれは鉄柱が落下してきたからだった
その鉄柱の下にはニコニコしている君がいた
君はまだ鉄柱が落下している事に気づいていないようだった
「どうしたの…?」
それは君の最後の言葉だった
落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる
劈 (つんざ)く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空廻り
僕には陽炎がわざっとらしく「嘘じゃないぞ」って嗤ってるように見えた
眩む視界に君の横顔、笑っているような気がして僕は気を失った
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