4人が本棚に入れています
本棚に追加
「と言うわけで、入学早々最悪な奴と出会ってしまったのであった。…告白はもちろん蹴った」
「……あはは」
一時間目が始まる前の教室。
机に突っ伏しながらナレーション風に毒づく私に、目の前に座る梓は苦笑した。
「茶院くんこっちに帰ってたんだね。……あれ、でも入学式の時に名前呼ばれてなかったけど」
「あぁ。あいつこの間受験したばっかだからまだ名簿に乗ってないんだって。挙げ句に遅刻。馬鹿でしょ」
「へ、へぇ……」
見下すような私の言葉に、梓は引き攣った笑みを浮かべて答えた。
「…で、あいつが慌てて体育館行ったらもう式が終わって誰もいなくて、ウロウロしてたら私のケータイ見つけた」
「そして、私がケータイを取りに帰ってくると確信したあいつは、体育館裏の桜の木の下でしばらく寝っころがってて………で、さっきの状況に至るわけ」
淡々と説明した私に、梓は黙って頷く。
最初のコメントを投稿しよう!