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「あ、でも。ここって硬式しかないけど、琴葉大丈夫?」
心配そうに尋ねる梓に、私は最上級の笑みを浮かべ、親指を立てる。
「ぜんっぜん大丈夫。だって、要はボールがちょっと硬くなっただけじゃん。余裕だって!」
「いや、違……」
「あのぉ」
「!」
梓が訂正しようと口を開いた瞬間、二人の会話を割って入ってきたのは、一人の女子生徒。
「…二人とも、硬式テニス部に仮入部するん…ですよね」
「え、そうだけど。アンタもなの?」
軽い調子で尋ねる私に、女子生徒は少したじろいだ。
そして、赤いゴムで二つに纏めた黒髪の一方に触れつつ、口を開いた。
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