ア レエスタウランティー ピホビア

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「そうですか。じゃあ、お借りします」 ヒタヒタとゆっくり床を歩く音がする。鏡の中から栂が消えた。休憩なんて言って、奴は半身浴中の女子か、と思いながらも、一人鼻血と戦っていた。 洗面台と手の血を流しては、鼻を押さえ直す。血の飛び散りを最小限に抑えるために流しに顔を突っ込む形になってしまった。 そして、再度、顔面を洗おうと顔を上げると…… 「深澤さん」 「おい!脅かすの止めろよ!」 栂が背後にぴったりと付いていて、心臓が止まるかと思った。足音が全く聞こえなかった筈なのに、奴はいつ戻ってきたのか。 「うぉっ、痛っ」 バスタオルを腰に巻いた栂からの攻撃。鼻血が出てるやつに普通、鼻フックなんてするか? 鼻に違和感を感じる。
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