ネズミ小僧

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   北風が吹きすさぶ冬のこと。  ボロボロの長屋に身を寄せ合って寒さをしのいでいた。  隙間は容赦なく冷たい北風を吸い込んでは長屋に吐き出していた。 「今年ももうじき終わるな」  髭を蓄えた腕っ節の強いサブが震えるからだで言葉を紡ぐ。 「そうでやんすね。なんだか今年はいつも以上に冷え込んでる気がするでやんす」  こちらも髭を蓄えひょろひょろっとした体つきの男、ヨビである。
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