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「…………」
いきなりのことに僕は硬直。が、すぐに今の状況を思い出し、慌てて股間を手で覆う。
「あ、アナト!なんでそんな所に裸でいるんだよ!?」
更に目を閉じて視界をシャットダウンし、アナトに怒鳴る。
「マスターの背中を流しに来ました!」
アナトは後ろにハートが付きそうな声で言う。
「いいよ!もう洗ったから!そしてもう上がるから!」
「嫌です!洗わせてください!」
不意に、股間を隠す手が柔らかいものに挟まれる。この柔らかさ、ごく最近感じたような……うん、アナトの胸だね……って。
「ちょっ、アナトくっつかいなで!男に当ててはいけないようなものが当たってる!」
「背中を洗わしていただけるまで離れませんし、自分の意志で当てているので問題ありません!」
「いや、問題大有りだから!」
駄目だ、このままじゃラチがあかない。こうなったら、また契約魔法で武器の姿に戻すしか……。
「――契約者の名と魔力(マナ)を以って……」
そこで、僕の意識が朦朧としてきたのを感じた。
少し眼を開けてみると、浴室と脱衣所を隔てる扉は閉められていた。たぶん、アナトが入ってきたときに閉めたんだろう。おかげで、今この浴室は密室状態となっている。
そして、基本的に早風呂の僕にしては、今回は浴室にいる時間がいつもより長い。
つまり、僕はのぼせてきたのだ。
そのことに気付いた時には、すでに僕は浴室に倒れており、上から「マスター!マスター!」と呼ぶ声を聞きながら、僕は意識を失った。
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