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「ん……」
眩しさを感じ、僕は目を覚ます。どうやら、風呂でのぼせたまま、朝を迎えてしまったようだ。
アナトが運んでくれたのか僕はベッドの上にいた。
「ん……う~ん、はぁ……」
ベッドから身体を起こし、伸びをする。そこで僕は、初めて自分が何も着ていないことに気付いた。
「……服の場所が分からなかったからこのまま寝かせたんだな、アナトは。きっと」
自分で無理矢理そう思い込もうとする。だけど、
「すー……すー……」
隣で寝息をたてるアナトを見て、嫌な考えが駆け巡る。
「……い、いや、違う。これはきっと、アナトが僕のベッドに潜り込んできただけだ。僕は絶対に何もしていないはず。そもそものぼせて気を失っていたんだからできるはずが――」
「ん~……あ、マスター、おはようございます」
「っ!?」
自分は何もしていないという自己暗示みたいなことをしていると、アナトが目を覚まし、僕は身体を強張らせる。
「お、おはようアナト。なんで僕のベッドで寝てるんだ?」
少し焦りながらも、アナトに挨拶をし、尋ねる。
「そんなの、マスターと一緒に寝たかったからに決まってるじゃないですか!」
身体を起こしながらアナトが答える。そこで僕は初めて気付いた。
アナトも、服を着ていないということに。
「……うわぁぁぁぁぁ!あ、アナト!なんで何も着てないんだ!」
「やだなぁマスター。ベッドに潜り込んだ私にあんなことやこんなことをさせたのはマスターじゃありませんか?」
「僕は昨日風呂でのぼせて今まで気を失っていたんだから、何もできるはずがない!」
「だから、気を失いながらも私にあんなことやこんなことを……」
「いいから服を着ろーーーーー!!」
その日、まだ目を覚ましていなかった寮の生徒は、僕のこの声で目が覚めたらしい……。
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