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それ以来、母は亡き父の残した娘、美音を父のように育てようとした。
容赦ないピアノ練習。遊ぶことなど許されることのない空間。
15歳の美音にとって、それはとてつもなく過酷であった。
母のせいだ-
いつしか、美音はそう言ったことがあった。
母のせいで、音楽が嫌いになったんだ。
たったひとつの父の形見を……音楽を、汚されたんだ。
いつのまにか、美音の心には憎しみが生まれていた。
(ただ……)
美音は、ふと立ち止まって空を見上げた。
「もう一度、お父さんに会いたいな……」
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