―はじまり―

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―青葉音楽学校  高等部  第1体育館― 「…えー、8月から3ヵ月間ある上級生講習会のペアを決める。組に1つ、同じ選択科目の2年生の名前の書いた紙が入ったボックスがあるから、それぞれ引いてペアになった人の名前を各クラスの記入用紙に記入せー!」 先生の指示のあと、物凄い勢いでボックスに飛びかかっていく1年生たち。 (※上級生講習会とは、1日3時間ある芸術の選択科目によってクラスがわかれており、それぞれ同じ選択科目を取っている1つ上の先輩から3ヵ月間1対1で指導を受けるという講習会のこと。) 「仲崎、先に引いてよ!」 「ったく、そんなんさっさと引けよ!くじ少なくなってくぞ。まぁ、順番の違いで期待にそえる結果がついてくれればいいけどね。」 「(そうなのだ。今日はその先輩と“もしかしたら同じペアになるかも!”と期待に胸を膨らませているのだ。)」 ここでソワソワしているのが1年2組(ピアノ科)の佐野桂多[さの けいた]。その前でくじを引こうとしているのが桂多と同じクラスで親友の仲崎晴人[なかざき はると]。小等部のときからの仲である。 「…よーし、引いたぞ。ほら、桂多の番!さっさと引いちゃえよ」 「もー、そんな急かすなよ!」 桂多はぐちぐち言いながらも、ボックスの中に手を入れてぐるぐるかき回している。 「…おーい、桂多くーん。後ろがつまってるぞぉー」 仲崎は半分呆れながら、桂多の方を見ている。 「わかってるよ!!んー…、よし。これだ!」 桂多は自信満々にそのくじを引いた。               _
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