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「うぇっくし!!」
5月下旬。
気温も少しずつ上がり始め、心地よい陽気が漂う季節である。
でもそれも太陽が高く上がる昼時の話し。朝早くから木の上に居れば、くしゃみのひとつが出てもおかしくはないだろう。
「うー、結構寒い」
袖で指先を隠す、いわゆる萌え袖をしながら双眼鏡を覗く。こーゆーのはかっこかわいいツンデレが似合うんだけどなぁ、と思いながら。
「まだかなー、転校生」
と、言っても俺が待ってるのはただの転校生じゃない。王道転校生だ。
ん?校門付近に人影……もさもさのたわしみたいなカツラ(多分)……
「王道キタコレ!!!」
思わず叫んでしまった。特に1人というのがとてつもなく虚しい。ああ…同志が居ればこんな時一緒に叫んでくれたのだろうか。
淳くんだったらなんで張り込みなのに叫んでんだよかっこ笑いでつっこんでくれただろうなー。
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