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「あのね、イル。
あんたが天然なのはわかりきってるけど。
村の人…声が聞こえないのは分るわよね?」
「あ!海の中で何万のイワシに黙祷をささげてるんだな!!」
―げし―
エリー→イル、
顔面キック。
「で、無数の足音が聞こえるでしょ!?」
「わかった!民族大移動だ!!」
「この住みやすいであろうイミル村から…?」
……………………。
「…あれ?」
―げしっ―
エリー→イル
再び顔面キック。
「で、
仕方が無いから説明するわ。」
「おぅ…。」
イルは足跡をタオルで拭いている。
(土足で蹴られたから)。
エリーは説明を始めた。
「村の中に魔物達が入って来て、
みんな連れさらわれちゃったの!
まだちょっと残ってる奴がいるから、
片付けるの手伝って!」
「…なんでそんな重大な事言わなかったんだ!」
―げしぃっ―
エリー→イル
三度目の顔面キック。
「あんたが鰯の弔いとか、民族大移動とか、
鈍いからでしょ―が!
普通外が異常に騒がしいとか、
急に静まりかえったとか、
怪しげな足音が聞こえるとか
気付くべき要素が沢山あるでしょ!?」
「真面目に気付かなかった。」
―ガァン☆☆☆―
エリー→イル
フライパン顔面攻撃。
「あんたは騎士目指してるんでしょ!?これくらい予想は―」
「おしゃべりはそこまでだぜぇ?」
ゴブリンが五体イルの家の扉を開けた。
「こいつ等もボスんとこ連れて行こうぜ!おこぼれくらい貰えるだろ。」
「「おぅ。」」
「行くぜヤロウ共―!!」
一匹のゴブリンがイル目掛けて石斧をもって突進する。
「まずはテメェからだ!
覚悟しなガキぃ!
ヒャッハアァァア!!」
石斧がイルに振り下ろされる。
が、
イルはそれを飛び退いて躱すと、
床にめり込んだ斧を上から片足で踏み付け、
もう片足でゴブリンを蹴り飛ばした。
「ぐはぁっ!!」
イルは石斧を持ち上げるが、
重いので武器として使えないと判断し、
つぎに向かってくるゴブリンに、
ブーメランのように投げ付けた。
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